2023年、あの超有名作品が
再び放送されることになりましたね!
るろうに剣心!
(出典元:TVアニメ「るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-」)
ビジュアルを新たにし、
豪華なキャストでこの7月から
放送が開始されましたね。
さて、第9話「御庭番強襲」に登場したのは
恵さんが毒を受けた弥彦を薬を使って治療する場面。
そしてその毒は「マンダラヨウ」という毒でしたね。
そして医療従事者である筆者は気になります。
この薬、いったい何を処方したのでしょう?
そして現代でもこの薬は調合できるのか。
というわけで今回は、
「マンダラヨウ」についての解説を混ぜながら、
どんな薬を医者に処方させたのかを考察します。
是非、最後までご覧ください!
そもそも現代で特効薬はある?
さて、まず最初にですが
そもそも現代に特効薬があるならば
話は早いですね。
ですが残念ながら、
現代でも「マンダラヨウ」に対しては
特効薬が存在していません!!
筆者が調査したところ症例報告、つまり
「珍しい事例があったよ」という論文が見つかる程度。
救急医学の教科書に対処法は書いていません。
そんな毒に対して
適切な治療薬を処方させた恵さん。
現代でも重宝される知識を持っていると断言できます!
論文ではどんな治療が行われていた?
ただし、特効薬が無いとは言っても
症例報告には治療の経過が載っていました。
その論文によれば、治療方法としては
「飲水と利尿」が選択されていました。
要するに、「体に排出してもらおう」ということ。
お分かりの通り、
現代でも一気に解毒する薬は存在しないんです!
少しずつでも体が毒を外に出し、
症状が無くなるのを待つしかない。
なのでおそらく、弥彦に配合された薬には
この「利尿成分」が配合されていたと考えられます。
他の成分は本当に分かりません。
非常に難しい事例であるため、
連れてこられた医者が対処を知らなくても
何の不思議もない「マンダラヨウ」。
非常に怖い毒物ですね…!
「マンダラヨウ」の正体は「朝鮮朝顔の葉」
では、この「マンダラヨウ」は何なのか。
正体は、チョウセンアサガオの葉!
知る人ぞ知る毒性の高い植物です!
チョウセンアサガオは
厚生労働省のホームページにも載っている
自然毒の一種。
(出典元:厚生労働省(写真提供:磯田進))
華岡青洲という江戸時代の医者が
世界初の全身麻酔を実施した際、
麻酔薬の主成分としたのがチョウセンアサガオ。
中毒症状として瞳孔散大、意識混濁などがあります。
ただしシビアな調整が必要なため
安全な使用には向きません。
先述の華岡青洲による外科手術自体は成功しましたが、
被験者となった彼の妻は失明したといわれています。
この話はドラマで有名となりましたね。(出典:Wikipedia)
非常に恐ろしい毒なんですね。
チョウセンアサガオの毒の主成分って?
さて、チョウセンアサガオの毒について
もう少し詳しく解説をしましょう。
チョウセンアサガオの毒の主成分は
アトロピンとスコポラミンという物質です。
アトロピンは、一部の農薬の過量服薬の際に
治療薬として使われる薬。
散瞳という瞳孔を拡げる作用もあるため、
眼科で点眼薬として使われることもありますね。
スコポラミンの方も同じ作用を持ちますが、
消化管の運動を抑制する効果もあるため
内視鏡検査の前処置に投与される場合もあります。
当然ですが、これらの薬は
チョウセンアサガオをそのまま使っている訳では無く
成分を抽出し、安全な容量にしたうえで
投与を行っています。
間違っても病院に行った際に
「チョウセンアサガオと同じ毒なんて使いたくない!」など
言わないようにしてくださいね!!
なぜ恵は解毒薬の配合を知っている?
さて、ここまでで
「マンダラヨウ」の毒について触れてきましたが、
なぜ恵は現代人すら知らない
チョウセンアサガオの解毒薬を知っているのでしょう?
(出典元:アニメ!アニメ!)
これは完全に筆者の独断と偏見になりますが、
「現代では調合方法が失伝してしまった」という説を
個人的には押しています。
現代で使われている麻酔薬は
当時と比較すればより安全に使うことのできる薬。
なので、チョウセンアサガオはもう使われません。
このため、症例も減り対処の必要が減ったことで
解毒薬のレシピも必要なくなったのでは、と。
毎年1件発生するかしないかの事例であるため、
医者として必須の知識ではもうなくなっているのです。
なので近所のお医者さんに
「チョウセンアサガオの解毒薬作って!」と言っても
「んなもん知らん!」と言われて終わりです。
ちなみに現代使われている麻酔薬って?
現代の麻酔薬として主に使われているのは
ミダゾラムという鎮静薬や
エドロホニウムという筋弛緩薬。
これらの薬には拮抗薬という
「効果を中和する薬」がありますし、
厳重な管理と投与状況の評価の下で使用されます。
もしくはプロポフォールという鎮静薬であれば
薬効時間が比較的短いため、
厳重な管理下であれば、効果が切れるまで対応することで
乗り切ることが出来ます。
こうした「何かあった時に対応できる薬」の方が
使用されるようになり研究も進んだため、
「使いづらい薬」はどんどん切り捨てられたのでは
のではないでしょうか。
まとめ
如何だったでしょうか?
今回は、るろうに剣心の第9話に登場した
「マンダラヨウ」の特効薬を切り口に
解説と考察を行ってみました。
・現代でも特効薬は存在しない
・チョウセンアサガオの葉からできた毒
・調合方法はもう失伝したのかもしれない
という事が分かりましたね!
チョウセンアサガオの毒への対処方法は
現代でも「毒が抜けるまで待つ」のが基本。
そして出来れば「毒が体に入らない」ようにしたい。
しかしこの回では経口ではなく
皮膚もしくは血管から体内に入っている様子。
すると非常に毒の回りが早い!
正直、よく助かったな、と思います。
それだけ医者が来るまで
付きっきりで看病をしたのでしょう。
むしろそっちの方が大事だったのかもしれません!
元々は薬として使われたチョウセンアサガオですが、
薬と毒は表裏一体。
使用する際には、専門家の意見に素直に従いましょう!
というわけで、今回はここまでです!
るろうに剣心をまだ見てない、
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他にも、このブログでは
いろんな作中の映像解説もしています。
るろうに剣心第1話の映像解説はこちら。
鬼滅の刃の映像解説はこちら。
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