過去、数回にわたりリバイバルされている
不朽の小説、アニメである
キノの旅。
(出典元:キノの旅 -the Beautiful World- the Animated Series 公式サイト)
このアニメで非常に印象深いエピソードといえば
「優しい国」を挙げる人は多いと思います。
自分もこれは忘れがたいエピソードです。
前回の記事では、新旧2作で描かれた
「大人の国」の違いを考察してみました。
そして「優しい国」も、やはり描き方に違いがあります!
筆者が特に面白いと思ったのは
以下の4つです。
- 宿屋の両親のキャラデザイン
- さくらが最初に映る位置
- キノとさくらの瞳の色
- パースエイダースミス店主の動作
今回、この6つのポイントについて、
解説と考察をしていきたいと思います。
是非、最後までご覧ください。
なお、この記事で使用しているスクリーンショットは
dアニメストアに掲載されている作品を
スクリーンショットとして利用しています。
キノの旅(旧作)の第13話はこちらから。
キノの旅(新作)の第10話はこちらから。
dアニメストアをご覧になりたい方は、
こちらをクリックしてみてください!
①宿屋の両親のキャラデザイン
まず最初に注目したいのは、
宿屋の両親のキャラデザインです。
何が違うのかと言えば、
旧作は「大人の国」に登場する宿屋夫婦とほぼ同じ。
一方新作では、全く違うデザインになっています。
旧作「優しい国」の宿屋夫婦
旧作「大人の国」の宿屋夫婦(出典元:dアニメストア)
旧作ではこのように、
夫婦の体格や髪型がほぼ同じです。
新作「優しい国」の宿屋夫婦
旧作「大人の国」の宿屋夫婦(出典元:dアニメストア)
一方の新作では、特に母親の髪型などが異なり、
完全に別にデザインされているのが分かります。
父親の方は、髪型は一緒ですが眼鏡などで
違いが出ていますね。
どちらも面白いのですが、
この後に出てくる要素なども併せて考えると
旧作の方が「大人の国」との絵による対比を意識して
制作されたのがよく分かりますよ。
②さくらが最初に映る位置
次に、「優しい国」の重要人物である
「さくら」についてです。
彼女が最初に映る位置に注目してください。
旧作では「樽の上に立っている」姿で映り、
新作では「群衆をかき分けて出てくる」姿で映ります。
最初に映るさくら(左:旧作 右:新作)
この2つの描写の違いは、
「絵で対比させる」か「行動で対比させる」かの
違いによって出てきたのだと思います。
次の項で、もう少し細かく
解説していきますね。
さくらと少女だったキノの違い
先ほど述べた、「絵での対比」と「行動での対比」。
そもそも対比させる対象は何かといえば
「大人の国」に登場する少女、つまり主人公キノです。
ここでは「少女」と呼ぶことにします。
旧作では、さくらは樽の上に立ち
少女は樽の上に座っていますね。
樽の上に立つさくら
樽の上に座る少女(出典元:dアニメストア)
店の日さしや樽の数など、
構図もほぼ同じなのが分かると思います。
このように、旧作は絵で対比させます。
一方、新作の方では
さくらの行動が少女とは真逆です。
少女は、座っていたら旅人に話しかけられました。
一方、さくらは自らキノに話しかけに来ています。
さくらの方が好奇心や積極性があるのですね。
このように新作も対比はされているのですが
旧作に比べるとやや分かりづらいですね。
でも、この違いは結末を知っていると…。
③キノとさくらの瞳の色
次に違いとしてあげたいのが
キノとさくらの瞳の色です。
どう違うのか?
実は、旧作では同じ色なのですが
新作では対色が使われています。
さくらとキノの瞳の色(左:旧作 右:新作)
さくらとキノが一緒の絵に居る場面で
グレーで同系統の瞳は「安定」などの印象を与えます。
旧作は全体的に落ち着いた印象を与える色使いですね。
一方、赤と緑で対になる色で瞳を配色した新作では
いろんな場面でこの2人に視線が行くという、
視覚効果を発揮できる色が使われています。
実際、新作の方ではキノとさくらが
一緒に居る時間が旧作より長いような印象も受けます。
この印象が色の違いでサポートされたとしたら
とても面白いですね!
④パースエイダースミス店主の動作
最後に取り上げたいのが、
パースエイダースミス店主の
動作と感情表現です。
違いを一言で言えば、感情表現の違いです。
旧作の方は装備と動作で表現し、
新作の方は瞳だけで表現しています。
少し長くなるので、項を分けて
説明することにしますね。
旧作:マスクを外して表情が見える
まずは旧作から見ていきましょう。
視線を合わせず作業をする
↓
手を止め振り向く(カメラ位置は固定)
↓
眼鏡を上げ、表情が見える
旧作のパースエイダースミス店主
パースエイダー店主は
最初キノたちが入っても保護眼鏡とマスクをかけたまま
作業を続けて視線も固定されたまま。
表情を見せないままで、仕方なく振り向き、
そして「カノン」を手に取ったところで
保護メガネを上げ、表情を見せます。
表情を見せようとしなかった店主が
保護メガネとマスクという「防御」を下げるのが
この旧作での流れですね。
新作:目のハイライト
一方の新作はどうでしょうか?
目にハイライトが無い
↓
「カノン」を見る目のアップになる
↓
目にハイライトが入る
新作のパースエイダースミス店主
目にハイライトが入るのは
セリフもない1秒ほどの場面ですが
この1秒で店主の感情が揺れたのが分かります。
このように、「カノン」を受け取った店主の反応が
旧作と新作で違っているのですね。
どちらの表現もとても素敵…!
まとめ
如何だったでしょうか?
今回は、キノの旅の「優しい国」について
旧作と新作の違いを4つ紹介しました。
- 宿屋の両親のキャラデザイン
- さくらが最初に映る位置
- キノとさくらの瞳の色
- パースエイダースミス店主の動作
の4つに違いがあるのが分かりましたね。
表現技法や絵の技術など
時代を経るごとに表現は変わるものですね。
違いを探すだけでも結構面白かったです!
もし、またキノの旅がリバイバルされて
新たに放送されることがあったなら、
是非その時はまた新たなキノの旅を観てみたいですね!
ちなみに、キノの旅はこの時代だからこそ
触れてみることで思考を深めてくれる
非常に良い作品だと思っています。
観たことないよ、という方は
是非是非、こちらからアニメを観てください!
他にも、このブログでは
いろんな作品の解説、考察もしています。
キノの旅の「キノ」の本名はこちら。
葬送のフリーレンの「フリーレン」についてはこちら。
呪術廻戦2期第5話についてはこちら。
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