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映画『ぼくらの七日間戦争』の敵は?「ぼくら」は誰を信じる?

ぼくらの七日間戦争
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宗田理さんにより書き下ろされた原作から
時代を経てアニメーション映画となった
『ぼくらの七日間戦争』!

(出典元:ヨメルバ)

1985年に出版された小説版と
2019年に公開されたアニメ版とで、
最大の違いは「敵」の設定にあると思います

2019年の新作版の方が「敵」が誰なのかが
物凄く分かりづらい制作になっているんですね。
こうなったのは何故なのでしょうか。

 

今回は、この「敵」という側面を通して
過去と現在の「ぼくら」が立ち向かっていたものが
変わっているということを解説したいと思います。
是非、最後までご覧ください!!

なお、一部映画のネタバレを含む解説になります。
まだ映画を見てないよ、という方は
それをご承知のうえで読んで行ってください!!

 

過去作と新作とのスタート時点の違い

まず、物語スタート時点で
過去作と新作は全く異なります。
大雑把に言えば、新作では当初敵がいません!

 

過去作では、
「管理してくる大人たちを相手取って立てこもろう」
誰に対立するのかを明らかにしていました。

それが新作版では、
「引っ越しが迫るまでの間、逃避行をしてみよう」
対立しようとしたつもりでは無かったのですね。

 

つまり、新作の方では
敵対するつもりで立てこもりをしていないため
「反抗する」という面が弱まっています。

なぜ、ぼくらシリーズの核ともいえる
「反抗」という側面が弱まったのか。
これは、新時代ならではの存在が大きいです。

 

逃げ場として存在するSNS

新作版の主人公、鈴原守が
物語序盤でも触れていたSNS
これが、今と昔の「ぼくら」の最大の違いです。

(出典元:劇場版アニメ『ぼくらの七日間戦争』公式サイト)

鈴原も、このSNSの中で
自分の趣味を共有する人たちを持っています。
つまり、周囲に言えないことが言える場所がある

一方、小説版での主人公、菊池には
その後の親友であり相棒ともいえる存在となった
相原に誘われるまで不満のはけ口がありませんでした。

 

逃げ場として存在する場所があることで、
新作版のぼくらには感情をぶちまける前の
「溜める」感覚が薄れてしまっているんですね。

「もう我慢ならない、反抗してやるぞ!」
という勢いが新作版のぼくらに無いのは
当然ともいえるのです。

 

ぼくらがSNSは「味方であり敵だ」と知る

そしてこのSNS。
逃げ場として存在していた場所を使い、
一時的には有利に戦いをすすめる新作版ぼくら。

しかし、あるタイミングで
このSNSを逆手に利用され、
大人たちの攻撃に対して苦戦してしまいます

 

ここで、新たな「ぼくら」は思い知るのです。
自分が何気なく使っていた空間、
警戒することなく頼っていた「誰か達」は
常に味方でいてくれる訳では無いということを

このSNSという非常にぼんやりとしたものこそ、
「ぼくら」にとっての敵なのです。
しかし、その敵はあまりに身近で、普段は味方。

だから、この新作「ぼくらの七日間戦争」は
敵の存在が非常に分かりづらいんです。
倒せない敵と戦うなんて無理だからです

大人たちは敵というより…

この新作版でも、確かに大人たちが登場します。
ヒロイン千代野綾の父親や、
入国管理局の職員たち。

確かに彼らは明確に対立してくる人物ですが、
どこか彼らの行動は間が抜けているし、
連携すらうまく取れていません。

 

敵というにはあまりにも弱いしだらしない。
彼らは過去版のぼくらが立ち向かったよりも
非常に弱い存在になっているんです

これもあって、新作版のぼくらは
戦う相手すら失っている状態になります。
戦っても疲れるだけで、達成感が無いんですね。

 

ぼくらが「敵」に対して取った態度は?

そして苦戦し、追い詰められていた主人公達が
咄嗟に取った行動は
「自分の秘密を目の前の人に打ち明ける」でした

これこそが、現代のぼくらが
非常にふわふわした敵、SNSに対する反攻なのです。
目の前の人こそ信頼する、という態度です。

 

そしてその態度が表出した場面こそ、
主人公がいきなり行った
「自分語り」であり「告白」だったのです。

不安と不信感に打ち勝つには

SNSという敵が出現したことで
ぼくらの間に生じた亀裂は目の前の人を
「知らなかった」「信じていいのか」という
不安と不信感でした。

これに対して反攻するのであれば
恐れをかなぐり捨てて信じるしかないのです。
目の前の人を信じ、信じてもらうために話す

 

あの短い場面こそが、
新しいぼくらが敵に対して「反撃」した場面です。
時代が変わったからこそ生じた戦争だったんですね。

 

過去作と新作でぼくらが立ち向かう相手

このように、新作で「ぼくら」が立ち向かうのは
SNSという正体の見えない敵でした。

一方、過去作での「ぼくら」は
強力であると一目で分かる大人が敵でした。

 

1985年に出版された書籍版を読んだ
当時の「ぼくら」も、もう大人です。
ぼくらだった人たちは、今の子ども達の敵なのか。

「そんなことはない。」
それが、この映画のメッセージでしょう。

 

敵はもっと分かりづらい形で身近にいる。
今だからこそ、「ぼくら」という
目の前にいる人たちが信頼しあう

そして、大人の中に居た一人が
まるで子供のようにはしゃぎ始めます。
「大人だってぼくらの一員だ」と言わんばかりに

 

まとめ

如何だったでしょうか?
今回は、アニメ映画版の
『ぼくらの七日間戦争』を「敵」という側面で
解説してみました。

・過去作と新作の最大の違いはSNS
・SNSは味方であり強大な敵となる
・目の前の人を信じるのが「ぼくら」だ

という事が分かりましたね!

 

筆者は30代。小説版を読んだのは
2000年代でしたが、それでも非常にハマりました。
その映画版なので、やはり楽しかったです。

ただ、なぜ過去作と新作がこうも違うのか。
この理由を長々と考え、まとめてみた次第です。
いろいろな意見が出た作品でしたが、
皆さんも是非、映画と原作小説を手に取ってみてください!!

 

 

ぼくらの七日間戦争をまだ見てない、観たい!
という方は是非
↓こちらをクリック↓

 

他にも、このブログでは
いろんな作中の映像解説もしています。
るろうに剣心第1話の映像解説はこちら
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